オメガ 「スピードマスター」を中心にオススメを紹介

オメガのクロノグラフモデルに再注目
幅広いコレクションを擁するオメガの中でも、見逃すことができないのがクロノグラフモデルだ。「オメガのクロノグラフ」と言えば、NASAが宇宙での活動用として正式に認定した「スピードマスター ムーンウォッチ」が最も有名であり、腕時計の歴史から見てもアイコニックピースと呼んで差し支えない。今回は、スピードマスターの歴史を振り返りつつ、それ以外のクロノグラフモデルにも注目して紹介してゆこう。

「スピードマスター ムーンウォッチ」Ref.310.30.42.50.01.002
オメガスーパーコピー代引き 優良サイト「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」Ref.310.30.42.50.01.002
オメガ「スピードマスター ムーンウォッチ」Ref.310.30.42.50.01.002
手巻き(Cal.3861)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.2mm)。50m防水。123万2000円(税込み)。
オメガに限らずとも、クロノグラフを紹介するうえで外すことができないのが「スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ」である。NASAは1965年にスピードマスターに対して有人宇宙飛行と船外活動(EVA)での使用の認定を与え、スピードマスターは宇宙へと正式に携行された時計として広く知られることとなった。この点について少し深掘りしよう。

アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディは1961年5月に「10年以内に人間を月面に着陸させ、安全に地球に帰還させる」アポロ計画を発表する。一方、この時点でのアメリカは、計画を完遂するのに十分な技術を持っているとは言い難く、その間を埋める計画としてジェミニ計画が1961年から開始される。そして、ジェミニ計画の中で制定された腕時計に対する要求仕様への適合性試験に、唯一耐えたのがオメガのスピードマスターであったのだ。1965年の試験結果報告書には「オメガの腕時計(スピードマスターを指す)はジェミニ宇宙船用として承認された」と明記されている。

1965年にスピードマスターがNASAから認定を受けた際に発行された試験結果報告書。”the Omega wristwatch is accepted for Gemini spacecraft.”と記されている。
そして、スピードマスターが非常に重要な役割を果たす瞬間が訪れる。アポロ13号の乗組員の生死を分けた14秒である。アポロ13号は月への航行中に爆発事故に見舞われ、酸素、水、電力の多くを喪失してしまう。地球帰還時の最後の電力を温存するため、軌道修正のためのエンジン噴射時も、宇宙飛行士たちは自動制御の助けなしで、手動で正確に行わなければならなかった。そして、この生死を分ける噴射時間の14秒を測り取ったのが、宇宙飛行士達の手首に巻かれたスピードマスターであったのだ(映画『アポロ13』の中で詳細に描かれている。スピードマスターファンは必見である)。

さて、2021年に刷新された現在のスピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチは、伝統的なデザインを継承しながら、さまざまな進化を遂げたモデルだ。その進化の、最も象徴的なものがマスター クロノメーター化された手巻きクロノグラフムーブメントのCal.3861である。大まかに、等時性向上とメンテナンス間隔の延長、耐磁性能、耐衝撃性能の向上が、コーアクシャル脱進機の採用をはじめとしたさまざまな改良によって実現されている。METAS(スイス連邦計量・認定局)によるマスター クロノメーター認定を受けているということは、1万5000ガウスの磁場にさらされた場合でも精度を維持すること、パワーリザーブ残量による精度の変動が小さいことなどの項目について、ムーブメント単体の状態とケーシング後の状態で、全数検査されていることを意味する。実用精度の観点で、最も頼もしい認定のひとつと言えるだろう。そのほか、従来モデルに対してブレスレットは細身に改められ、クラシカルな印象が与えられただけでなく、サイズの小さなリンクによって着用感の向上も図られている。

「伝統を継承しつつ最新の性能を備える」という筆者の考えるオメガのスタンスを色濃く反映している点も魅力である。オメガを代表し、クロノグラフを代表する1本として、もう一度注目してみてほしい。

「スピードマスター ファースト オメガ イン スペース」Ref.310.30.40.50.06.001
オメガ スピードマスター 310.30.40.50.06.001
オメガ「スピードマスター ファースト オメガ イン スペース」Ref.310.30.40.50.06.001
手巻き(Cal.3861)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径39.7mm、厚さ13.4mm)。50m防水。121万円(税込み)。
スピードマスター ムーンウォッチは、NASAが宇宙での活動用として初めて認定したモデルをベースとしている。では、初めて宇宙へ携行されたオメガの腕時計かと問われると、実は認定前に宇宙へと携行されたモデルが存在する。それがスピードマスターのセカンドモデル「Ref.CK 2998」だ。1962年10月3日に開始されたマーキュリー計画のシグマ7ミッションにおいて、NASAの宇宙飛行士であるウォルター・“ウォーリー”・シラーが個人用の時計としてRef.CK 2998を着用した記録が残されている。

この、Ref.CK 2998を復刻したのが2024年10月に発表された「スピードマスター ファースト オメガ イン スペース」だ。Ref.CK 2998の復刻モデルは2012年にも発表され、惜しまれつつも生産終了となっていた背景があり、今般、待望の復活を遂げた形となる。そして、この復活に際して、コーアクシャル脱進機を有するマスター クロノメーター ムーブメントを搭載して大幅な性能向上が図られた点が注目点だ。

では、ディティールもひもとこう。オリジナルモデルに忠実なデザインが与えられており、アルファ型の時分針がトレードマークだ。12時位置に立体的なロゴを配したCVDによるグレーブルー文字盤には、焼け色を思わせるカラーのスーパールミノバが採用され、ヴィンテージテイストを生み出している。また、NASAからの認定を受ける前のモデルであるため、ダイアル上に“PROFESSIONAL”の文字が無いこともポイントとなっている。

オメガ スピードマスター ファースト イン スペース 復刻モデル
オリジナルのCK 2998を忠実に再現したブルーグレーのダイアル。アルファ型の時分針やヴィンテージタイプのロゴを採用する。スピードマスター ムーンウォッチは伝統を守りながら進化を続けるのに対して、こちらはオリジナルに忠実なヴィンテージテイストと、立ち位置は大きく異なる。
シンメトリーでシャープなラグを持つケースも本作の特徴で、直径39.7mmとコンパクトなサイズに収められている。なお、スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチでは、リュウズとプッシャーのガードを備えたアシンメトリーなケースを採用しており、ケース径は42mmとなる。サイズ感の違いも本作を選択するうえでの、重要なポイントとなりそうだ。

「スピードマスター パイロット」Ref.332.10.41.51.01.002
オメガ スピードマスター パイロット
オメガ「スピードマスター パイロット」Ref.332.10.41.51.01.002
自動巻き(Cal.9900)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40.85mm、厚さ14.7mm)。100m防水。146万3000円(税込み)。
オメガは、スピードマスターの存在により宇宙との関りが深い印象が強く、それは誤りではない。一方で、航空機パイロットを支えてきた歴史も持つ。第二次世界大戦時には、オメガはイギリス国防省に11万個以上の時計を納入したほか、1957年発表の初代スピードマスターがアメリカ空軍パイロット達からの支持を集めた。

このような歴史を反映したモデルが「スピードマスター パイロット」である。本作は、初代スピードマスターへのオマージュとして、ケースシェイプや“二眼”のクロノグラフを継承する。そして、本作独自の魅力を生み出しているのが、コックピット内に備わる計器のデザインをふんだんに盛り込んだ文字盤デザインだ。

オメガ スピードマスター パイロット

Photograph by Masanori Yoshie
梨地仕上げをベースに、航空機のコックピットに備わる計器から着想を得たディテールが大きな特徴だ。
時分針はコックピットウォッチなどで見られるシンプルなペンシル型に改められ、クロノグラフ秒針の先端は、長い先端を設けた飛行機型の装飾が設けられている。ここにオレンジを用いている点もパイロット向けモデルらしいディティールだ。3時位置には60分積算計と12時間積算計が同軸で配され、9時位置にはスモールセコンドが配される。さらに、スモールセコンドでは航空機の地面に対する傾きを表示する姿勢指示器からインスピレーションを得たデザインが施される。

文字盤のベースは梨地仕上げで、光が射し込む環境でも視認性を確保する仕立てとなっている。スピードマスターのロゴの下部には“FLIGHT QUALIFIED”と記されており、本作の特別感を演出するものとなるだろう。

搭載されるのは、METAS認証を得たコーアクシャル・マスター クロノメータームーブメントのCal.9900であり、その信頼性は現代基準で最高レベルと言える仕上がりである。

「シーマスター ダイバー300M クロノグラフ」Ref.210.30.44.51.01.001

オメガ「シーマスター ダイバー300M クロノグラフ」Ref. 210.30.44.51.01.001
自動巻き(Cal.9900)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径44mm、厚さ17.2mm)。300m防水。132万円(税込み)。
オメガの豊富なコレクションにおいて、スピードマスター以外にもクロノグラフモデルはラインナップされ、長きにわたって人気を集めてきた。そのひとつが「シーマスター」のクロノグラフモデルである。今回は「シーマスター ダイバー300M クロノグラフ」を取り上げよう。

シーマスターは、1948年に高い防水性能をはじめとした、さまざまな環境に耐えうるマルチパーパスウォッチとして誕生し、多くの派生モデルを生み出してきた。1960年代頃までのシーマスターの主軸であったインフォーマルウォッチとしての側面は「シーマスター アクアテラ」に受け継がれ、より防水性を高めたダイバーズウォッチは「シーマスター ダイバー300M」に受け継がれている。

スーパーコピー代引き 優良サイト本作は300mの防水性能と、飽和潜水に対応するヘリウムエスケープバルブを備えるプロフェッショナル仕様のダイバーズウォッチである。外観品質も、ケースの仕上げが良好であるのに加え、ポリッシュ仕上げのセラミックス製ベゼルインサートとプッシャーを採用しており、艶やかな質感が本作に魅力を加えている。文字盤には、コレクションのアイコンである波模様がレーザーエングレービングによって施されている。

搭載されるのは、METAS認証を得たコーアクシャル・マスター クロノメータームーブメントのCal.9900であり、3時位置には60分積算計と12時間積算計が同軸で配され、9時位置のスモールセコンドが配される。

ロレックスでグレーとブラックのベゼルを備えた新しいSS製Ref.126710GRNRというまったく異なるモデルを発見した。

“コーク”や“ブルーベリー”のロレックスGMTマスター IIが出るというまことしやかな噂が飛び交うなか、私たちは今日、ロレックスでグレーとブラックのベゼルを備えた新しいSS製Ref.126710GRNRというまったく異なるモデルを発見した。この時計はブランドのほかのラインナップと同じサイズとムーブメントを備えており、直径40mmのケースにオイスター、またはジュビリーブレスレットの選択肢を用意している。価格は154万円(税込)だ。

Rolex GMT Master II
この新作におけるもうひとつの目玉は、グリーンであしらわれたGMTマスター IIの文字と24時間針である。ロレックスコピー 時計代金引換激安通販優良店!これらが、文字盤上でさりげないアクセントとなっている。これは、2007年のバーゼルで発表されたオリジナルのブラックオンリーのセラミックベゼルモデル、Ref.116710LNを彷彿とさせる。あれから17年も経ったなんて、信じられるだろうか?

我々の考え
率直に言って、私は“コーク”ベゼルの大ファンというわけではないため、今年それが見られないからといって特に悲しくはない。そして今作は、オリジナルのブラックベゼルのGMTマスター II、Ref.116710LNの黒と青、青と赤の色のコントラストが好みに合わず“派手”過ぎると考える人にとって、ちょうどいい控えめな選択肢だと思った。歴史的な結びつきを感じさせるペプシのアイデアも気に入っているが、自分のフォトジャーナリスト時代を振り返ってみると、あんなに人目を引く時計はつけたくないと常々感じていたように思う。“バットマン”だって、かなり目立つ。それに対して、この時計は実にステルス的だ。

GMT-Master II
新しいベゼルの組み合わせは、地球を揺るがすような衝撃的なものではない。だが、少なくともオリジナルのブラックベゼルよりは実用的で見やすく、そもそもGMTを使ううえでそれなりに重要な部分であるデイ&ナイトの区分がある。なお、ロレックスのサイトを見たときにもうひとつ目立っていたのは、スティール製のGMTマスター II “ペプシ ”が、生産終了の噂があるにもかかわらずまだ掲載されていたことだ。もしペプシがあなたの理想であったなら(私がそうであったように)、その夢は生きている。

基本情報
ブランド: ロレックス(Rolex)
モデル名: GMTマスター II
型番: 126710GRNR

直径: 40mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: 黒
インデックス: ホワイトゴールドのアプライド
夜光: 針とインデックスにクロマライトを採用
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: オイスターまたはジュビリー

Rolex GMT-Master II
ムーブメント情報
キャリバー: 3285
機能: 時・分・秒表示、デイト表示、GMT(時針単独調整機能付き)
パワーリザーブ: 70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
クロノメーター認定: COSC

価格 & 発売時期
価格: 154万円(税込)
発売時期: 発売中

クロノメーター コンテンポラン IIが、現在製造されている時計のなかで最も優れたものである可能性があり、

レジェップ・レジェピ(Rexhep Rexhepi)が数々の賞を受賞したクロノメーター コンテンポランを発表してから、もうすぐ2年になろうとしているのは信じがたい。時計はふたつのバージョンで登場し、いずれも38mm×8.75mm(風防を除く)で、ヴォーシェ社(Vichet)製ケースのような表情豊かなシェイプをしている。ひとつはブラックのグラン・フー・エナメル文字盤にアイボリーエナメルのマーキングが付いたプラチナケース、もうひとつはローズゴールド製ケースにアイボリーのグラン・フー・エナメル文字盤、ブラックエナメルのマーキングというバリエーションだ。当時は各ケース素材50個ずつ、計100本の限定生産であった。CCII(クロノメーター コンテンポラン II)の最初のピースは納品され始めており、次の2週間で17ピースが配送されるとレジェピ氏は語った。しかし彼のペースは落ちていない。

Rexhep Rexhepi
工房でのレジェップ・レジェピ氏。

Only Watchのための新しいアンチマグネティックピースのリリースに加えて、レジェピ氏はルイ・ヴィトンと協力してLV RR-01を開発。今後も多くの作品を発表する予定だ。その“多く”のなかには、少し“特別な要素”を加えたCCIIのふたつのバージョンがあり、これによってRR CCIIの総数が拡大されることになるだろう。SJXは昨年11月、リシャールミル スーパーコピーブラックエナメルダイヤル上のローマ数字の代わりに、5つのダイヤモンドインデックスを採用したプラチナモデル、クロノメーター コンテンポラン II ディアマンテを発表した。昨日の朝、レジェピ氏の工房を訪問した際、彼は私たち(幸運なベン・クライマーと私)に新しいRR CCII “ルビー”を披露してくれた。その数時間後、ジュネーブで開催された彼のコレクターの小さな集まりに出席しているときに、Instagramでそれがシェアされた。当然のことながら、この時計は大きな反響を呼んだ。

RRCCII Ruby
ディアマンテと同様に、ルビーで装飾された新しいグラン・フー・エナメル文字盤は、同じセクター風ダイヤルを維持し、縁には時・分マーカーがあり(エナメルにコントラストをつけるのに十分な厚さでありながら、エナメルを強調しすぎない程度の薄さ)、インナートラックは10分間隔で目盛りが打たれ、それぞれのエリアを覆うルビーの周りを巧みに避けている。これらの小さな変更により、はるかに現代的な時計に仕上がっているのに対し、幅の広い隙間とローマ数字が、“スタンダード”モデルにヴィンテージ感を与えるのと比べて、どれほど異なるかは驚くべきことである。

RRCCII Ruby
ディアマンテでは、スモールセコンドのサブダイヤルから手彫りのグラッテ模様が取り除かれたが、ルビーのほうでアイボリーグラン・フーは変更されていない。しかし実物を見てみると、太陽の下ではクリーミーな色合いから、日陰では骨のように白い色へとすぐに変化した。シグネチャーの針もかなり似ていて、ほとんどの光の下では暗く見えるのだが、よく見るとルビー調の仕上げになっている。ほぼ気づかないかもしれないが、無意識のうちにある種の調和を生み出すだろう。

RRCC2 Rubies and Normal
左が“スタンダード”なRR CCII、右が新しい“ルビー”。

RRCCII Ruby
RRCCII Ruby
このようなデザインの選択は、ジェムセッティングを渇望するように見える現代の風景への移行の一部というよりは、パテック フィリップのようなブランドが、厳選したピース(通常はトップクライアントのために作られたユニークピース)に宝石インデックス(ダイヤモンド、エメラルド、ルビー)を付けていた、ヴィンテージピースの長い(希ではあるが)系譜を継ぐ時計なのだ。昨年、私は、ペルー・リマにある小売業者Casa Welschのためのパテック 2424Pなど、オークションやコレクターの手首にあるこれらの希少な作品をいくつか見た。しかし、この慣習は現代まで続いており、ダイヤモンドインデックスを備えたパテックの5170Pや、オークションに登場したカスタムオーダーのRef.5004R、3974R、3939Rのセットなどにはすべてルビーインデックスが配されていた。ルビーはサウード国王のお気に入りでもあったようで、彼は文字盤に自身の顔を描いた、ルビーインデックスの懐中時計や腕時計をいくつか注文していた。

ラウンドやプリンセスカットの宝石は華奢に感じることがあるが、これらの宝石で採用される長いバゲットカットは、RR CCIIバージョンをはるかに現代的に感じさせる。これは、レジェップ氏がヴォーシェ社に触発されたロングラグのケースと、3年間の調整を経て、現代のスタイルに適したバージョンに落ち着くという決定とのあいだで打ち出したバランスと似ている。ケースは横幅よりも縦幅のほうがやや長めになっており、絶妙なプロポーションとラウンドダイヤルを保ちながら、表情を変えている。また、必ずしも全員の手首のサイズに合うとは限らないが、時計の着用感を驚くほどよくし、小さな手首から大きな手首まで適応する。ケースにはJPHと刻印もあり、伝説的なジャン=ピエール・ハグマン(Jean-Pierre Hagmann)氏が84歳になった今も熱心にケース製造を監督していることが分かる。

RRCCII Stamp
RRCCII
内部にはCal.RRCC02が搭載されており、市販されているものと同じくらい(あるいはそれ以上)精巧に仕上げられている。ムーブメントには今流行っているような、見惚れるようなもの(ボンベスタイルのアングラージュ、内角に内角を重ね、スポークとインナーエッジに手作業で施した面取りが施されており、その結果、両輪列の全体にわたって140°の内向きの角度が形成されている)ばかりが揃っているが、インターネット上の誰かが自分の時計の趣味を“証明”するために投げかける言葉ではなく、何かを意味するような方法で行われている。確かに、それは効果を目的とした仕上げであるが、それはまたどうあるべきかという点でも、完璧に仕上げられている。

The RRCCII
RRCC02ムーブメントを搭載した、RR CCII ディアマンテ。

RRCCII
時・分・スモールセコンドに加えて、リューズを引くとムーブメントが停止し、秒数がゼロにリセットされるストップセコンドゼロリセット機能を搭載している。このムーブメントは、堅牢なドテピン受け(レバー脱進機の動きを制限して振動範囲を正確に設定する部品)を備えたスイス製レバー脱進機と、8本の慣性ネジ、4本の調整ネジ(テンプに取り付けられる微調整用のねじ)を備えた、フリースプリング式の調整可能なマスロットテンプを特徴とし、ブレゲひげゼンマイの終端曲線に取り付けられている。

RRCCII
この時計について延々と語ることが出来る。すでにそうしてきたし、おそらく別の日にもするかもしれない。快適さからクラフツマンシップに至るまで、RR CCIIは現在つくられている時計のなかで最高のものだと心から信じている。先月、10本あるディアマンテのうち2本を見た。私の個人的な好みでは、ダイヤモンドのほうが驚くほど繊細で汎用性がありながら、ルビーのRR CCIIはよりエレガントであり、もしかしたら少し女性的なオプションかもしれない。しかしこれは、すでにRR CCIIを手に入れることが決まっていて、わずかな変更を申し出た幸運なレジェピ氏の長期サポーター10人にのみ提供されるものだ。

これでRR CCIIの総数は少なくとも120本となり、ほとんどの人にとってはまだ手に入らないものだが、もしチャンスがあれば、わざわざ見に行く価値はあるだろう。

1979年にクレドール(セイコー傘下)が製造したジェラルド・ジェンタデザインの“クレドール ロコモティブ”を再発売する。

クレドール ロコモティブが1970年代のジェラルド・ジェンタによる“ブレスレット一体型”のラグジュアリースポーツウォッチであることは疑いようがない。そのデザインには、アイコニックなデザイナー(そして彼のアイコニックなデザイン)から学んだ多くの特徴が見られる。角ばったブレスレット、ベゼルのビス、そして独特なベゼルと文字盤の形状は、すべて70年代のジェンタを象徴している。しかし、彼のスイス業界への影響が伝説的である一方で、セイコーや日本全体がジェンタにとってどれほど重要であったか、知っている人は少ないだろう。この点を踏まえると、これが伝統的な紹介になることはないが、それが適切だと思う。ジェラルド・ジェンタのデザインには(ポーラルーターを除いて)伝統的なものは何もない。いまから新しい時計を紹介するので、最後のスペックまで飛ばしてもらっても構わない。しかしもっと知りたい人にとって、ロコモティブの歴史を掘り下げることは十分に価値があると思う。

新しいクレドール ロコモティブ
“ブレスレット一体型”という言葉を引用符で囲んでいるのは、ご覧のとおり、ブレスレットがケースに統合されている度合いがその後に登場した3つのデザイン(ロイヤル オーク、ノーチラス、インヂュニア)よりもはるかに少ないからだ。これらほかのデザインについても、当時画期的であったとはいえ、現代のスポーツウォッチの伝統的な型には確実に当てはまらないことが分かってきた。しかしクレドール ロコモティブのポイントはそこではない。この時計は何よりもまず、金属の形をした歴史の教科書なのだ。

Credor Locomotive
まず、その金属の形について話そう。オリジナルのロコモティブはスティール製であったが、新モデルは高輝度チタンでつくられており、サイズは38.8mm×8.9mm、ソリッドケースバック、ねじ込み式リューズ、反射防止コーティングを施したサファイアクリスタルを備え、10気圧の防水性能を誇る。ケース自体には、それまでの時計の要素がミックスされている(例えばIWC インヂュニアに似ているといえるかもしれない)。特にブレスレットは最も明白な“回帰”であり、サテン仕上げの表面、アングルとポリッシュ仕上げのエッジ、各リンク間のふたつのコネクターなど、ロイヤル オークとの類似性を否定することはできない。さらにケースと完全に一体化しているのではなく、カルティエ スーパーコピーNランク代金引換専門店時計は中央の1点でつながっている。これについては後ほど詳しく説明しよう。ブレスレットはプッシュボタン式のふたつ折りフォールドクラスプを採用している。

Credor Locomotive
 文字盤には六角形のベゼルがあり、それを六角形のネジが固定している。ベゼルの上部はサテン仕上げ、側面はポリッシュ仕上げで、ロイヤル オークと似ているが、ロイヤル オークが非常に鋭く計算されたエッジを持つのに対し、クレドールのケース形状はより柔らかく丸みを帯びている。オリジナルのクレドール ロコモティブの文字盤は、ジェンタのオリジナルスケッチの放射状パターンよりも、むしろハンマーで叩いたようなテクスチャーを持っていた。それがいまでは、新しい機械加工と製造技術によって、1600本以上の放射状パターンが加えられている。またベゼルのネジが機能的になり、文字盤のインデックスが完全な楕円形になったことも、オリジナルのロコモティブが発表されてから45年のあいだに行われたアップデートの一部である。

Credor Locomotive
 ケース内部には、時・分・センターセコンド、日付表示を備えた新しい自動巻きCal.CR01が搭載されている。これはオリジナルのクォーツムーブメントからさらにアップグレードしたものだ。時計は2万8800振動/時で動作し、パワーリザーブは約45時間。残念ながら、私が撮影したモデルはムーブメントなしのダミー機であったため、感触や性能については何もお伝えできない。2024年版のクレドール ロコモティブは300本のみの限定生産で、今年の8月に正式販売される際には176万円(税込)で販売される予定である。これが主な詳細であるが、クレドール ロコモティブの物語の表面をかすめたに過ぎない。

クレドール入門
A Week On The Wrist: The Credor Eichi II

クレドール 叡智IIは、この過去の記事で述べたように“最も偉大なグランドセイコー”として知られているかもしれないが、それは少し複雑である。それでもこの時計は素晴らしく、祝うに値し、さらに探求する価値がある。

最近、私が書いたグランドセイコー Kodo “薄明”に対するコメントで、クレドールはセイコーの最高価格モデルのブランドではないかという質問があった。これはよくある誤解である。その一因は、クレドールはアメリカではほぼ叡智IIしか知られていないことにある。叡智IIはクレドールのマスターピースコレクションのひとつであり、ほとんどのグランドセイコーの時計よりも高価(税込で605万円)だからである。実際、今日まで叡智IIはアメリカで販売されている唯一のクレドールであった。

フランス語の“CRÊTE D’OR”(黄金の頂き)に由来するクレドールは、1974年に貴金属を使用したセイコーの高級ブランドとして設立された。1980年までに、ブランドはトライピークの紋章ロゴとクレドールの名前を初めてセイコーブランドロゴなしで配置し、その2年後には価格が100万ドルを超えるダイヤモンドセットのジュエリーウォッチを発表した。2011年にはスプリングドライブ ミニッツリピーターも発売された。しかし、クレドールの歴史を通じて最も重要なのは、ほかのセイコーブランドやコレクションでは見られない手工芸、宝石セット、デザイン、形状の実験を行っている点である。クレドールはまた、価格帯の幅も大きく跨いでいる。

Time + Tideの提供による、クレドールのセレクション。

グランドセイコーの9つのデザイン要素。Courtesy of Grand Seiko.

グランドセイコーとクレドールを差別化する要素は、実は価格とは関係ない。セイコーとグランドセイコーはデザインや価格帯が重なる部分があるが、クレドールの最大の差別化要因は、グランドセイコーの核となる3つのデザイン原則と、すべての時計に共通する9つのデザイン要素の制約から解放されている点である。ブランドのウェブサイトにはこれらの原則の概要が掲載されており、グランドセイコーのすべての時計には以下の要素が備わっているはずである(サイトからの引用)

平面を主体として、平面と二次曲面からなるデザイン。三次曲面は原則として採り入れない。
ケース・ダイヤル・針のすべてにわたって極力平面部の面積を多くする。
各面は原則として鏡面とし、その鏡面からは極力歪みをなくす。
この図は、これらすべてがどのようにグランドセイコーの9つのデザイン要素に分解されるかを示したものだ。しかしロコモティブを見ると、これらのデザイン要素の多くが、現代のグランドセイコーの要求とは大きく異なることが分かる。

それを踏まえると、ロコモティブが現代のグランドセイコーで受け入れられるデザインから明らかに異なっていることが分かる。四角ではなく丸みを帯びたインデックス、面取りされていない針、ケースが上から下、さらには角から角まで立体的なカーブを描いていることなど、どれも“グランドセイコー”のデザインとはいえない特徴である。さらに鏡面仕上げではなく縦方向のサテンで仕上げられたベゼル自体も、この時計をクレドール(少なくともグランドセイコーではない)として際立たせている。

Credor Locomotive
その点については納得できる。ジェラルド・ジェンタはほかの誰のデザインルールにも従わなかったからだ。それが彼のデザインをひと目で識別できる理由である。しかし、多くのジェンタのデザインにまつわる逸話とは異なり、この話は彼自身が直接語ったものである。

ジェンタと日本。ロコモティブ誕生の経緯
数週間前のある月曜日の遅い時間、クレドール ロコモティブの再発売を前に、イヴリン・ジェンタ夫人と話をした。“ジェラルド・ジェンタ・ヘリテージ・アソシエーション”の創設者でもある彼女はロンドンを拠点としながらも、故ジェラルド・ジェンタへの敬意を表するとともに新しい若手の才能を支援するために活動している。彼女は東京・銀座にあるセイコーの重厚なウッドパネルの部屋からテレビ会議に出席していた。イヴリン夫人が夫の芸術、デザインへの情熱、そして日本への愛について雄弁に語るなかで、私はジェラルド・ジェンタの天才性と、彼がキャリアで直面した挑戦や外部からの圧力、特にセイコーと仕事をする決断に至る経緯をより深く理解するようになった。

Gerald Genta and Evelyne Genta
ジェラルド・ジェンタとイヴリン・ジェンタ夫人。Photo courtesy Gerald Genta Heritage.

 過去20年間、スイスの独立時計産業を支えてきた日本の役割は、フィリップ・デュフォーやF.P.ジュルヌのような人々を新たな高みへと引き上げた。彼らは日本の支援がなければ(少なくともそれほど早くは)その高みに到達しなかったかもしれない。しかし、1970年代にはスイスの時計産業が日本と戦争状態にあった。日本が機械式およびクォーツ式の精度で成長しているため、機械式時計製造の魂を巡る争いが起きたのである。

「もしあなたがスイス人男性で、スイスブランドのデザインを手がける時計の世界で人生をスタートさせたとしたら、日本は絶対に好きになってはいけない場所だった。なぜなら、スイスのあらゆる産業が日本を恐れていたからです」とイヴリン・ジェンタ夫人は私に語った。「日本はスイスの時計産業を滅ぼす大敵でした。工場は閉鎖され、人々は解雇されていきました。それとは逆に私の夫は日本に執着しており、最初は本当に観光客として何度も訪れていました」

 ジェンタは旅の途中で、セイコー創業家の一員であった服部禮次郎と出会った。ジェンタは日本語も英語も話せず、服部もフランス語を話せなかったが、ふたりは瞬く間に意気投合し、強い友情で結ばれた。服部はジェンタの作品を称賛し、1970年代には何度もジェンタを日本に招いてセイコーのデザインチームに向けてインスピレーションを与える講演を行った。そこで、余暇には常に絵を描いていた情熱的なアーティストであるジェンタは、最近のグランドセイコーに共通するテーマである自然からインスピレーションを得ること、そしてスイスの時計産業についてあまり考えないようにすることをデザイナーたちにすすめた。

「彼はスイス人として時計をつくっていましたが、彼にとってそれは応用芸術でした」とイヴリン・ジェンタ夫人は夫について語った。「彼は非常に強いこだわりがあり、ほかの時計には見向きもしませんでした。バーゼルフェアに行っても、私がほかのブランドのウィンドウを見て回っているあいだ、彼は決して見に行かなかった。私はそれを不思議に思い続けていましたが、それが彼の流儀だったのです」

Gerald Genta’s Locomotive Sketch
ジェラルド・ジェンタによるオリジナルのロコモティブのスケッチ。Courtesy Credor and Gerald Genta Heritage.

 そして1970年代の終わりに、服部の個人的な依頼を受けて、ジェンタはロコモティブのデザインを手掛けることになった。ジェンタは一般的に、非常に少ない報酬でブランドのために時計をデザインし、それをブランドに渡して好きなようにさせるのが一般的だった。イヴリン・ジェンタによれば、彼女の家には夫がデザインしたものが自宅に4300点あるというから、夫には“たくさんの子どもたち”がいたことになる。そしてそのなかには、簡単に手放してもいいと思えるほど満足していたデザインもあった。しかしロイヤル オークのような時計については、ジェンタはより深くかかわり、そのデザインが完成するまで見届けることもあった。

イヴリン・ジェンタ夫人。Courtesy Credor.

Courtesy Credor.

 ロコモティブは間違いなく後者に該当し、イヴリン・ジェンタによれば、彼は時計の発売まで関与し続けたという。彼女はまた、ロコモティブはジェラルド・ジェンタブランド以外で彼自身が名前を付けた唯一の時計であるとも語った。ロコモティブという工業的な名前は、デザインに機械的なインスピレーションを受けたことを示唆しているが、そうとは言い切れない。彼が観察した機械的なもの、例えばネジや船窓のような細かい部分からインスピレーションを得たことは確かだが、ロコモティブという名前には単なる“列車”以上の深い意味が込められていた。

Original Locomotive
1979年に製造された、オリジナルロコモティブ。Photo courtesy Credor.

「コルムやピアジェにも、ジェンタのデザインはあらゆるブランドに存在します。現在、どのブランドも彼のデザインをアーカイブから探しています。いま、ジェンタのデザインを持つことが大流行していますからね。しかし彼が嫌っていたのは、人々がジェンタにまつわる話をでっち上げることでした。いくつかの有名な時計には、本当ではない話もあります。だけどこの時計に関しては違います。彼はこの時計を愛していました。彼はいつも、どの時計が長続きするか知っていました。時々、彼は『これはベストセラーになるだろう』とか『機関車みたい』と呼んでいました」

「フランス語で言うロコモティブはもちろん、皆が知っている機械のことですが、同時に『成功を引っ張るもの』という意味もあります」とイヴリン・ジェンタ夫人は語った。「あなたは写真家ですが、もしあなたの写真がものすごく有名になったら、それはあなたの写真のロコモティブになるでしょう。その時計が完全に機械にインスパイアされたとは言えません。彼はあとから名前をつけたのです」

ジェンタの物語を牽引するロコモティブ
ロコモティブは、現代の時計デザインにおける一種のミッシングリンクである。ジェンタの作品に対する熱烈な情熱にもかかわらず、この数年間で多くの人がロコモティブについて考えたことはないだろう。しかし私が初めてオリジナルのロコモティブを見たとき、それは直ちに、以前のほかのブランドのためにデザインしたものと、のちに自分の名前を文字盤に掲げて行うデザインの橋渡しとして感じられた。まるでジェンタがこれらの大胆な機械的テーマを繰り返し探求しながら、言葉の端にある(いわば)デザインを見つけようとしていたかのようであり、それ以前の各デザインが独自のアイコンであることを証明する一方で、彼は依然として自分が“言いたい”デザインを探し続けていた。

Credor Locomotive
 これは多くのアーティストに共通する現象だと感じる。自分の心のなかにある、正確な表現を探し求めることだ。ジェラルド・ジェンタは、何よりもまずアーティストであった。自己批判的であれ自己探求的であれ、もし機会があれば私たちは自分の“芸術”を永遠に調整し続けるだろう。ロコモティブを横から見ると、それは間違いなくロイヤル オークのブレスレットのように見える。しかし少し回転させると、ジェンタが自分のブランド名でデザインした時計に共通する重要なデザイン要素が込められていることに気づく。その中央にある接続ポイントは、ジェラルド・ジェンタの“オクタゴン”ウォッチ(グランソヌリやほかの複雑時計を含む)における重要な要素だと私は考えている。

Credor Locomotive
Gerald Genta Grand Sonnerie
(ジェラルド・ジェンタの)グランソヌリ。Courtesy of Gerald Genta Heritage.

 これらのデザインのどれも、ロコモティブなしでは存在しなかった可能性が高いだけでなく、1969年に設立されたジェラルド・ジェンタブランド(ロコモティブのリリースの10年前)自体も存在しなかったかもしれない。ジェンタはロコモティブのあと、主にスティールの一体型ブレスレットスポーツウォッチのデザインから離れていったが、それには服部からの励ましもあった。

「ジェラルドはロコモティブで、これらのよりインダストリアルな外観の時計で言いたいことを言い尽くしたと思います」とイヴリン・ジェンタ夫人は語った。「彼がそのあとに望んだのは、複雑機構の探求だったと思います。それはおそらく、ピカソがある時点で彼のスタイルや使用するさまざまなメディアから解放されたときと似ています。夫にも同じようなことが起きたのだと思います。彼は非常に独特な空や太陽を特徴とする永久カレンダーを作りたがっていました。彼は6本のプロトタイプを作りましたが、それらはまだ完成しておらず、文字盤には名前もありません。それを服部さんに見せたところ、服部さんは『仕上げて持ってきてください。和光で展示したいです』と言ったのです」

Gerald Genta Perpetual Calendar
2023年にクリスティーズ開催された、“ドバイ・エディット・オークション”のロットナンバー8である、ジェラルド・ジェンタを象徴するデザイン。Photo courtesy Christie’s.

「ジェラルドは6本の時計を持って戻ってきました。そんなにお金を持っていなかったのに、金無垢の時計を6本も製作するのは大変なことでしたので、それは大きな投資でした。服部さんはそれらを和光で展示しましたが、その反応はどうだったかというと、あるスイスのブランドが服部さんに『そんなことはできない。これらの時計を展示しないでくれ』と言ったのです。服部さんは『ジェンタ、これは非常に無礼です。あなたはそれを受け入れるべきではありません。自分の名前をつけるべきです』と言いました」

 その瞬間こそが、ジェラルド・ジェンタというブランド名のもとに生まれたすべてのものの真の誕生だったと、イヴリン・ジェンタ夫人は考えている。

Credor Locomotive
 クレドール ロコモティブは、その物語とジェラルド・ジェンタおよびクレドールブランドの歴史における役割に魅了されずにはいられない。ロイヤル オークの“ジャンボ”やパテック フィリップ ノーチラスよりもやや厚めだが、この時計は間違いなく手首に快適に装着できるし、176万円(税込)という価格はそれらよりもかなり手頃である。文字盤は非常に魅力的で、ロイヤル オークやノーチラス(さらにはオーデマ ピゲの“トスカーナダイヤル”のような希少バージョン)よりも素晴らしい。ただそれはある意味、重要なことではないかもしれない。

史上最も伝説的な航空機のひとつのパーツを使用した限定版として復活する。

1970年、有名で、恐れられ、歴史に残る航空機のひとつであるSR-71 ブラックバードが大事故に見舞われた。機体番号61-7970のこの機体は、テキサス州エルパソの東約20マイルの地点で給油タンカーKC-135Q(機体番号59-1474)と衝突し、墜落したのだ。パイロットとRSO(偵察システムオフィサー)は無事に脱出したものの、SR-71自体は失われた。それ以来、バナジウムや鉄が加えられた未来的なチタン合金であるこの機体の一部が、時折市場に出回ることがある。そして今、それらの素材は時計の一部となり、ウルベルクの新作EMC SR-71のクランクハンドル(回転運動を伝えるためのハンドル)やネジ込み式ベゼルに生かされている。

Urwerk EMC
このアイデアはふたりの起業家、ジェイソン・サルコヤン(Jason Sarkoyan)氏とロマン・シュペール(Roman Sperl)博士が2020年12月にウルベルク本社を訪れたことから始まった。サルコヤン氏は時計コレクター兼デザイナーであり、EMC ブラックを着用していた。一方のシュペール博士は航空技術者であり、SR-71 ブラックバードに関する専門家であった。彼らは“ドリームランド”という会社を設立しており、大人気のフランクミュラー時計コピー Nランク代金引換プレスリリースによると、これは“宇宙探査のニーズに応える製品を開発するだけでなく、アメリカの航空宇宙の偉業を日常生活にもたらすことを目的としたライフスタイルブランド”であるらしい。彼らのプロジェクトについてそれ以上の情報は見つからなかったが、少なくともこの時計は私の目を引いた。

SR-71 Handle
SR-71の合金素材でつくられたハンドル。

ウルベルクをフォローしてきた人なら、2013年に登場したEMC(エレクトロメカニカルコントロール)のこともご存じだろう。このモデルの核心的な機能は、コントロールボードに接続された光学センサーで、テンプの2万8800振動/時(4Hz)の振動数を測定し、1600万Hzの電子オシレーターの基準と比較してどれくらい正確に動いているかチェックする仕組みである。集積回路にはその差を計算する機能があり、ケース8時位置にあるボタンを押すと10時位置のインダイヤルに時計のクロノメーター精度が表示される。そのほかパワーリザーブ、スモールセコンド(針の先端にSR-71がデザインされている)、もちろん時・分表示機能も備わっている。

ブラックバードのパーツに加えて、ケースはブラックアウトされたチタンとスティールでつくられており、防水性能は30mだ。幅47.55mm、長さ49.57mm、厚さ17.58mmと、かなり大きめの時計である。内部には自社製の手巻きEMCムーブメントが搭載されており、パワーリザーブは約80時間。時計は世界限定10本で、価格は15万スイスフラン(日本円で約2560万円)である。

我々の考え
もし“SR-71の地上スピードチェック”の話をまだ読んでいないなら、ぜひ共有したいと思う。シンプルで楽しいストーリーであり、なぜSR-71が伝説的なのかがよく分かるエピソードだ。さて、もし地上にいて“時計のスピード(精度)チェック”や振動数の確認が生じた場合は、EMCがその役目を果たすだろう。この時計はF.P.ジュルヌのエレガントと同じ時代(そして同じ年)に登場したもので、これは高級時計製造において電気と機械の融合が本格的に始まった時期でもある。EMCは2014年、ジュネーブウォッチグランプリの“メカニカル・イクセプション賞”と“イノベーション賞”部門で受賞を果たした。このモデルは基本的には同じものだが、ブラックバードの機体の一部を(たとえ小さくとも)時計に組み込んだこと自体とてもクールであり、ぜひ取り上げたいと思ったのだ。

私はウルベルクのファンだ。彼らは今の市場において、きわめてハイエンドな未来的ウォッチメイキングを象徴する存在だと思う。心のなかではヴィンテージ好きでありたいと思いつつも、ウルベルクの新作を見るたびに“もしかしたらこっちのほうが自分に合っているのかもしれない”と感じてしまう。ただ自分の判断を急ぎたくはない。数週間後にジュネーブに向かう予定のため、そのときにこの時計を直接手に取ってみたいと思う。それまではパイロットたちがよく言うように、青空を上に保っておこう(気持ちを落ち着けて待とう)。

基本情報
ブランド: ウルベルク(Urwerk)
モデル名: EMC SR-71

直径: 47.55mm
厚さ: 17.58mm
ケース素材: チタン&ステンレススティール、SR-71 ブラックバードの機体パーツでできた巻き上げクランクハンドルとベゼル
文字盤: ブラック
インデックス: プリント
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: 航空機の安全ベルトに着想を得たNATOストラップ(ナイロン、レザー製)、ベルクロ式

Urwerk EMC
テンプ上に配置された光学センサー。

ムーブメント情報
キャリバー: UR-EMC
機能: 時・分表示、センターセコンド、δパフォーマンスインジケーター(特許取得済)、パワーリザーブインジケーター、時刻調整用ネジ
パワーリザーブ: 約80時間
巻き上げ方式: 手巻き、マクソン®ジェネレーター搭載
振動数: 2万8800振動/時
追加情報: 機械式テンプに連動する光学センサーと、1600万Hzの電子オシレーター搭載

価格 & 発売時期
価格: 15万スイスフラン(日本円で約2560万円)
発売時期: すぐに
限定: あり、世界限定10本