ゼニスが人気のハイビートクロノグラフを軽量化した。

ゼニスのクロノマスター スポーツにチタンモデルが新登場。

ゼニスがクロノマスター スポーツを発売して以来、ブランドで最も人気のあるモデルのひとつとなった。ブーム時にはキャンセル待ちが出るほどだったという。そして今日、ゼニスはクロノマスター スポーツのチタンモデルを発表した。同じクロノマスター スポーツに属するが、ケースとブレスレットはグレード5のチタン製となった。

新素材以外の仕様は、おなじみのスペックだ。厚さ13.8mmの41mm径チタンケースに、プッシャー、ベゼル、ケース、ブレスレットはすべてサテン仕上げされ、ポリッシュの面取り仕上げが施されている。ゼニスによると、重量は105gであり、スティール製クロノマスター スポーツより30%軽量になった。

内部にはおなじみのクロノグラフキャリバー、エル・プリメロ 3600を搭載し、3万6000振動/時のハイビートムーブメントと約60時間のパワーリザーブを備えている。

このチタンには新しい文字盤も投入され、ゼニスはこれを“ニッケルグレー”のサンバースト仕上げ文字盤と呼んでいる。クラシックな3色カラーのインダイヤルには、それぞれ異なる色調のグレーを使用している。

クロノマスター スポーツ チタンは、チタンブレスレットとラバー一体型ストラップの両方で提供。価格はブレスレットが155万1000円、ラバーストラップが149万6000円(どちらも税込)だ。

クロノマスター スポーツシリーズの延長線上にチタンがあるように思えるが、それとも、少なくともかなり明白ではないだろうか? クロノマスター スポーツ チタンは見栄えがよく、優れている。CS(クロノマスター スポーツ)は、伝統を重んじるクロノマスター オリジナルに対する現代的な回答であり、ゼニスがスポーツラインにチタンを導入するのは当然だ。そしてチタンをコレクションに追加することで、ゼニスは(おそらく)クロノマスター スポーツにインスピレーションを与えたロレックス クロノグラフで、やらないことをやってのけたのだ。もちろんゼニスとデイトナは歴史的に蜜な関係を築いていたということはご存じのとおりだ(ロレックスがデイトナをアップデートしようと、エル・プリメロキャリバーを搭載するためにゼニスの門を叩いた、80年代までさかのぼる)。

クロノマスター スポーツ チタンのブレスレットの価格は155万1000円(税込)で、2021年に発表された当時のSS製CSより18%高い(SS製CSは現在税込で140万8000円)。以前も述べたが、どう考えてもCSのほうが人気が高い。ただ私はどちらかというとスポーツよりもクロノマスター オリジナル派のため、これだけですでに少数派だ。正直、CSについて強い思いを抱くほど長い時間を過ごしたことはない。そしてクロノマスター スポーツが強い感情を引き起こすように設計されているとは思えない。ゼニスが新しいエル・プリメロ 3600を発表するためのクールな手段だったと感じている。結果、今は商業的に成功を収めている。このよくできたクロノマスター スポーツ チタンがその地位を確固たるものになることは間違いないだろう。

基本情報
ブランド: ゼニス(Zenith)
モデル名: クロノマスター スポーツ チタン(Chronomaster Sport Titanium)
型番: 95.3100.3600/39.M3100(ブレスレット)、95.3100.3600/39.R951(ラバーストラップ)

直径: 41mm
厚さ: 13.8mm
ケース素材: チタン
文字盤: ニッケルグレーのサンバースト仕上げ
インデックス: ファセットカットされたロジウムプレート加工ノアプライド
夜光: あり、インデックスと針にスーパールミノバ SLN C1
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: チタン製ブレスレットまたはブラックFKMラバーストラップ(どちらもフォールディングバックル付き)

ムーブメント情報
キャリバー: エル・プリメロ 3600
機能: 時・分・スモールセコンド、日付表示、コラムホイール式の垂直クラッチ式クロノグラフ(10分の1秒クロノグラフ、60分積算計)
直径: 30mm
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 35

zenith chronomaster el primero
SS製クロノマスター・スポーツに見られるエル・プリメロ3600。

価格 & 発売時期
価格: ブレスレットは155万1000円、ラバーストラップは149万6000円(どちらも税込)

ウニマティックがブランド史上最小の時計、モデロ サンクをリリースした。

新しいU5S-AとU5S-ANは、ミラノブランドの特徴であるミニマルな雰囲気を維持しつつ、36mm径へとダウンサイズしている。モデロ サンクの新エディションはどちらも限定モデルで、スティールまたはブラックアウトされたDLCケースを持つ。

ウニマティックの最初の4モデルと同様、サンクはスポーツウォッチからインスピレーションを得ているが、必要不可欠な要素だけに絞っている。U5S-AはSSモデルで、U5S-ANはブラックアウトされたDLCバージョンのモデロ サンクである。文字盤は紛れもなくウニマティックで、これまでのほとんどのモデルと同様のデザインを採用している。

サテン仕上げのケース、マットブラックの文字盤、光沢のあるスケルトン針、大ぶりなリューズなど、モデロ サンクのすべてが、そのツールウォッチのインスピレーションを物語っている。36mmのケースの厚さは11mmで、ラグからラグまでは約44mm。ラグは比較的長めだが、手首にフィットするよう下向きへと傾斜がついている。スリムなベゼルと鋭い角度の見返しは、モデロ サンクの存在感をより大きくしている。フラットな風防の厚さは2.5mmで、ミドルケースの上に位置するベゼルに取り付けられているようだ。

モデロ サンクは、2万8800振動/時で時を刻み、約41時間のパワーリザーブを持つ自動巻きのセリタ製SW200-1を搭載する。そして、昨年モデロ サンクを発表したマッセナLABとのコラボレーションとは異なり、日付表示はない! どちらのモデルも日付は裏蓋の下に隠されている。

モデロ サンク U5S-A。

最後に、ほとんどの過去モデルに取り付けられていたストラップよりも優れるTPUラバーストラップが新たに導入された。テーパーがつけられてよりスリムになり、ラグからバックルまで22mmから20mmへと細くなっている。なおモデロ サンクには、追加のブラックレザーカーフスキンストラップも付属している。

SS製U5S-AとDLCコーティングのU5S-Aモデロ サンクはそれぞれ300本限定。SSの希望小売価格は840ドル(日本円で約12万6000円)、ブラックDLCは960ドル(日本円で約14万4000円)だ。どちらもHODINKEE Shopで購入可能である。

我々の考え
モデロ サンクU5S-AN。

以前からウニマティックの持つ雰囲気が大好きだったが、特にこれは今までで一番つけやすいモデロだ。

昨年、私がウニマティックを訪れたとき、ブランド共同設立者のシモーネ・ヌンツィアート(Simone Nunziato)氏は、このブランドのデザインの選択が、単にそれ自体のためのミニマリズムではないと説明してくれた。

「ミニマリズムはいい言葉ですが、だからと言って選んだわけではありません」とヌンツィアート氏。「ミニマリズムのためのミニマリズムではなく、これ以上必要ないからミニマリズムなのです」

自身の6.25インチ(約15.8cm)の手首につける。

モデロ サンクはこの精神を継承しており、より小さく、多くの人が身につけやすいサイズのケースとした。ダイバーズウォッチというよりはフィールドウォッチに近いが、以前のウニマティックでおなじみだった、ダイバーズ風の文字盤はそのままである。

正直なところ、ブラックアウトのDLCモデロ サンクは世界で最も読みやすい時計ではないが、見た目がかなりクールなのは認める。それでも私は、白いスケルトン針とインデックスが付いたSSのほうが好みだ。文字盤のデザインは見慣れたもので、もう少し実験的なデザインにして欲しかったとも思う。フィールドウォッチの美学に傾倒した小ぶりなケースサイズなら、アラビア数字を採用するなどして、ウニマティックがこの美学に傾倒したものをつくってくれていたらもっとよかっただろう。

ウニマティックは、時計の販売を絞って展開しているため、今後数年間でさまざまなデザインを試すことは間違いない。

もうひとつのうれしいアップデートは、新しいTPUラバーストラップだ。私はウニマティックが過去に発表した多くのモデルに付属していたラバーストラップが好きではなかった。あまりにもプラスチックっぽく、柔軟性がなく使い心地が悪かったのだ。新しいラバーストラップはそれらすべてを解決してくれた。ウニマティックはさらに、モデロ サンクを少しドレスアップ出来るよう、カーフスキンレザーストラップも追加している。

モデロ サンクは、この若いブランドによるデザイン重視のツールウォッチコレクションに加わる強力なアイテムだ。私のように、そのブランドをずっと好きだったが、少しかっちりしすぎていると感じていた人にはおすすめだ(だからといって、私が時計を買うのを止めたことはない)。限定のシンプルなブラックカラーはクラシックで、新モデルを介するのに適している。

モデロ サンクはこれまでのモデロよりもはるかに小ぶりで、今までのウニマティックとは一線を画している。軌道に乗った今、私はウニマティックがこのプラットフォームを使って、ブランドの確立された精神に忠実でありながら、新しいデザインにも挑戦して欲しいと思っている。

ウニマティック モデロ サンク。36mm径×11mm厚、ラグからラグまでの長さは44mm。ステンレススティールまたはブラックDLCケース。300m防水。自動巻きのCal.SW200-1、約41時間パワーリザーブ、2万8800振動/時、ハッキング機能付き。ブラックのTPUラバーストラップ(ラグ22mm、テーパー20mm)とブラックカーフスキンストラップ付属。モデロ サンクの限定モデルで、各300本限定。希望小売価格はSSが840ドル(日本円で約12万6000円)、ブラックDLCが960ドル(日本円で約14万4000円)

セイコーダイバーズにおける大人気シリーズである1965 メカニカルダイバーズ 現代デザインが、

セイコーダイバーズの歴史を現代に受け継ぐシリーズが、さらなるモダンなアップデートを遂げて登場。

セイコー プロスペックスより、1965 メカニカルダイバーズ 現代デザインが登場したのが2020年のこと。国産初の本格メカニカルダイバーズのディテールを踏襲しつつ、モダンかつ実用的なスペックと外装を備えた同シリーズは手に取りやすい価格も後押ししてたちまち好評を博した。とりわけオリジナルモデルに近しい外観を持つSBDC101の人気は高く、HODINKEEでもジェームズ・ステイシーが複数回にわたって記事にしている。その後も1965 メカニカルダイバーズ 現代デザインは、この4年間でいくつかのバリエーションをリリースしながらセイコーダイバーズ全体の人気を牽引してきた。そしてセイコーブランドが100周年を迎える2024年に、同社は同シリーズにメスを入れることを発表した。シリーズ名も新しくなる。その名も、メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージだ。

新しくなったのは名称だけではない。今回セイコーは、同シリーズのスペックや外観にさらなるアップデートを施した新作をリリースした。

まずは外装について触れていこう。短めのラグや直線的なストラップ取り付け部を含めてフォルムに大きな変化は見られないが、ケースサイズは従来モデルの直径40.5mm × 厚さ13.2mmから直径40mm × 厚さ13mmへわずかにシェイプされた。そのサイズダウンを受けてか、ブレスレットも今作のためにピッチを短くとったコマと小ぶりなバックルから構成された新開発のものを使用している。ベゼルインサートはダイヤシールドを施したSSからアルミニウムに変更。ダイビングスケールはレーザーによる彫り込みに塗料を流しこむことで、長期の使用でも剥離しにくくしている。ダイヤル上では、オリジナルに倣って3時位置にあったデイト窓が4時と5時のあいだに移動した。丸く取られたデイト窓は縁もなく、遠目にはあまり目立たなくなっている。

続いて、スペックについて。ムーブメントには2023年に発表され、同年にキングセイコーにも搭載された薄型自動巻きのCal.6R55が選ばれた。これによって、これまで採用されていたCal.6R35の約70時間に対してパワーリザーブは約72時間に伸長。わずかな差ではあるが、3日間の大台に乗っている。また、防水性能は200m空気潜水用防水から300m空気潜水用防水へと大きく向上した。

SBDC199 20万3500円(税込)

今回発表されたのは、レギュラーモデル2型(SBDC195、SBDC197)と、セイコーブランド100周年を祝したスペシャルエディション1型(SBDC199)の計3型だ。前者は17万6000円(税込)、後者のスペシャルエディションは前述のSSブレスに加えて、ペットボトル再生原料を製紐(せいちゅう)と呼ばれる日本の伝統技術を用いて編み上げたファブリックストラップも付属して20万3500円(税込)となる。この製紐によるファブリックストラップは2021年に1965/1970 メカニカルダイバーズ 現代デザインにおいて初めて採用されたもので、厚く袋状に編まれていることでやわらかくしなやかな肌触りを有し、通気性にも優れている。ラグ幅はうれしいことに20mmだ。手持ちのプロスペックスにも、このハイクオリティなストラップを転用できるというわけだ。3型はすべて、2024年6月8日(土)の発売を予定している。

ファースト・インプレッション
1965 メカニカルダイバーズ 現代デザインは、ブランドの歴史においてマイルストーンとなるモデルとその意匠をモダンに再解釈し、実用的な時計に仕上げることを目的としたシリーズだ。オリジナルモデルの再現を念頭に置いた“復刻デザイン”とはデザインにおけるコンセプトがそもそも異なる。そのためか、1965 メカニカルダイバーズ 現代デザインの延長線上にあるメカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージにおいても、ファーストダイバーに忠実であることより、現代で日常的に使用することを想定したアップデートが行われているように見える。62MASの顔立ちからは少し乖離したものの、20万円以下で購入できるモダンダイバーズとしての完成度はより高まったと思う。

直径0.5mm、厚さ0.2mmのサイズダウンが手首上での雰囲気にどれだけ影響するかは、実機を見てみないとわからない。だが、デイトが4時〜5時位置に移動し、主張が控えめになったことで顔立ちとしてはより洗練されたものとなった。2023年12月にリリースされたマリンマスターでも同様の位置に配されていたが、今作においてはデイトディスクとダイヤルの色味が近いためより自然に溶け込んでいるように見える。また、レギュラーモデル(SBDC195、SBDC197)のダイヤルカラーもSBDC101のグレー、SBDC107のフェードしたブルーなどと比べるとグッとメリハリが効いているようだ。なお、デイトの移動によって、ルミブライトを塗布した12ヵ所のインデックスは完璧なシンメトリーになった。これもまた、ルックスの美しさに貢献している。また、防水性能を大きく向上させながら、そのうえでケースサイズを絞っている点も見事だ。これには、Cal.6R55の搭載も関係しているのかもしれない。しかし総じて、(メカニカルダイバーズ 1965“ヘリテージ”と名称は変わったものの)新作ではさらに現代的かつ実用的な方向へと舵取りがなされたように僕には見える。

一方、ベゼルにアルミニウムインサートを採用した点は少し気になっている。既存モデルに見られたSS製ベゼルインサートは、ダイヤシールドが施されているため非常に堅牢だ。ジェームズも、SBDC101を1年間使用したあとのレポート記事で目立つ摩耗は見られないと書いていた。実用的であること、現代的であることを目指すなら、従来どおりSS製ベゼルを採用することが望ましいように思う。ステンレスでは表現できない、アルミならではの光沢感や色味が重要だったのだろうか? それともケースの小型化に合わせ、クラシカルな雰囲気を強調したかったのだろうか。このアルミニウムベゼルとほかの要素のバランスも含め、今回のアップデートは広報写真だけでは判断できない細かな調整が目立っていた。各コマとバックルを小ぶりに調整したというブレスの美観も気になるため、できることなら6月8日(土)の発売前に、今回のデザインにおけるセイコーの意図も確認しながら既存モデルと並べてじっくり比較してみたいと思っている。

基本情報
ブランド: セイコー プロスペックス(Seiko Prospex)
モデル名: メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ
型番: SBDC195、SBDC197、SBDC199(スペシャルエディション)
直径: 40mm
厚さ: 13mm
ケース素材: ステンレススティール(ダイヤシールド)
文字盤色: ダークブルー(SBDC195)、ブラック(SBDC197)、チャコールグレー(SBDC199)
インデックス: バーインデックス、アプライド
夜光: ルミブライト
防水性能: 300m空気潜水用防水
ストラップ/ブレスレット: ステンレススティール製ブレスレット(ダイヤシールド)、SBDC199はポリエステル製の製紐ストラップも付属
追加情報: 内面無反射コーティング付きカーブサファイアガラス

ムーブメント情報
キャリバー: 6R55
機能: 時・分・秒表示、デイト表示
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻き付き)
振動数: 2万1600振動/時
石数: 24

ジン レボリューションとコラボした暗闇で輝く新しいパイロットクロノグラフ。

レボリューションはジンとタッグを組み、イエローの夜光、スティールケース、クラシカルなベゼルなど、古いパイロットクロノグラフを比較的忠実に再現したクールな“ダークスター”を発表した。そして今回、両者は新しい(名前にやや矛盾があるかもしれない)“ブライトスター”をリリースした。ダークスターの製造量の倍にあたる300本が生産され、3600ドル(日本での入荷と価格未定)で入手可能なブライトスターには、数多くの魅力が詰まっている。

まず最初に、この新しい時計はよりモノトーンカラーでまとめ、43mmのSSケースはジン独自のテギメントテクノロジーで仕上げている。テギメントとは表面硬化の一種で、硬度(および耐傷性能)を標準的なSSの5倍にまで高めたものだ。テギメント加工されたこのSSはPVDブラックでコーティングされている。ほとんどの場合、SSに圧が加わるとひび割れや剥離、剥がれが生じることが多いため、(実用的にも審美的にも)特に優れた効果を発揮する。ベゼル、プッシャー、およびリューズも同様の加工が施されている。

今回の新作は両方向回転ベゼル、30分積算計、鮮明で読みやすい針、スーパールミノバインデックスを備えたパイロット用クロノグラフ(セリタ製SW510を搭載)だ。ダイヤルには(レボリューションのブランド名にふさわしい)明るく輝く星があしらわれており、サファイア風防を使用。ブンドストラップで提供されるほか、追加でNATOストラップも付属する。

この新しいジン 155S ブライトスターをひそかに見る機会を得たのだが、私がブラックケースの時計にどれほど心を奪われているか知っている人なら驚くことではないが、私の目を引いたことは確かだ。

Sinn x Revolution Bright Star
数人が時計を手に取るなか、新たにテギメント加工されたケースと、シリーズ史上初のサファイア、また完全にブラックアウトされた初の155モデルを評価していたのは私だけではないようだった。レボリューションはコーティングに力を入れているようで、最近リリースされたウニマティックとのモデルも注目されているようだった(そちらはもっと派手なブルーセラミックだが)。直径43mmと、確かに大ぶりだが、100mの防水性と大きくて読みやすいダイヤルを備えているため、目的に合わせてつくられたツールとして、空から海への移行がうまくいくはずだ(ただし、あまり早く移行する必要はない)。

基本情報
ブランド: ジン(Sinn)
モデル名: 155S レボリューションII(155 S Revolution II)

直径: 43mm
厚さ: 推定15.15mm(過去のリリースに基づく)
ケース素材: ブラックハードコーティングを施したステンレススティール(テギメント加工)
文字盤: ブラック
インデックス: アラビアインデックス、ミニッツトラック、両方向回転パイロットベゼル
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ブンドストラップ(NATOストラップ付属)

Revolution Sinn Bright Star
ムーブメント情報
キャリバー: セリタ製SW510
機能: 時・分・スモールセコンド、クロノグラフ(30分積算計)
パワーリザーブ: 約56時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 27
追加情報: 高い耐磁性能

価格 & 発売時期
価格: 3600ドル(日本での価格未定)
発売時期: 発売中(日本への入荷未定)
限定: あり、世界限定300本

多様な時計を生み出すパルミジャーニ・フルリエらしい答えを出した。

パルミジャーニ・フルリエから、トンダ PF マイクロローター ゴールデン・シエナが登場。

2021年9月の誕生以来、控えめでピュアなミニマルスタイルを追求し続けるトンダ PFコレクション。なかでもトンダ PF マイクロローターは、特にパルミジャーニ・フルリエの大きな特徴であるエレガンスと奥ゆかしさの象徴、“不必要なものすべてを取り除き、本質のみを生かす”というブランドフィロソフィーを体現するモデルとして、時計をよく知る愛好家を中心に高く評価されてきた。そんなトンダ PF マイクロローターに魅力的な新作が加わった。

2024年の新作として発表されたのは、トンダ PF マイクロローターのノーデイトモデルだ。もともとミニマルなデザインのモデルではあるが、日付窓をダイヤルから取り去ることで、より一層表現の純度が増し、繊細なカラーリングと装飾が施されたダイヤルの存在が強調されている。この新作の発表に際し、パルミジャーニ・フルリエCEO、グイド・テレーニ氏は次のようなコメントを寄せた。

「新しくトンダ PF マイクロローターを製作するにあたり、私たちは“至上の純粋主義者”へ向けて、明瞭さを体現するものを届けようと努めました。奥ゆかしさとタイムレスな美しさに対するメゾンのビジョンが、すべての要素に反映されています。複雑な読み取りを省いたミニマルデザインと、ゴールデン・シエナのダイヤルカラーのニュアンスまで、すべてのディテールは美観的な純粋さにこだわって導かれています」

日付表示がないところも本作の特徴ではあるが、気品と穏やかな雰囲気を併せ持つダイヤルのゴールデン・シエナカラーも魅力のひとつだ。シエナとは、イタリア・トスカーナ州にあるシエナの町のことであるが、同時にかつて存在したシエナ共和国の採掘場で採取され、人類が最も古くから用いていたという土を原料とする天然顔料の1種も指している。パルミジャーニ・フルリエでは独自性を追求し、自然の彩りを表現するダイヤルとして、まさにゴールドのように煌びやかでありながら落ち着いたニュアンスのカラーリングで表現した。

そんなダイヤルカラーの魅力をさらに強調するのが、ブランドのシグネチャーモチーフであるバーリーコーン(麦の穂)ギヨシェだ。ブランドの基準に則り、ダイヤルには精巧なギヨシェが手彫りで施されているが、バーリーコーンの極小パターンが繊細な質感を与え、ダイヤル全面の広い面積にギヨシェが刻まれているため、針の存在が引き立っている。必要最低限な時・分表示のみを残し、パルミジャーニ・フルリエらしい視認性の高いクリアなダイヤルに仕上げられた。

そして搭載するのは、厚さ3.07mmのCal.PF703である。基本的には既存のトンダ PF マイクロローターに採用されているのと同じムーブメントで、マイクロローター式の自動巻き機構を備えており、地板にはペルラージュ、輪列を押さえるブリッジにはコート・ド・ジュネーブ、そしてプラチナ製ローターにもバーリーコーン装飾が施される。こうした装飾のほとんどは手作業で行われているといい、ダイヤルに引けを取らないほど丁寧に仕上げられている。

価格は既存のデイト付きSSモデルと同じ370万7000円(税込)で、発売は2024年初夏を予定している。なお、それほど数多く生産される時計ではないが、限定モデルではなく通常のコレクションとして展開される。

ファースト・インプレッション
冒頭でも触れたとおり、控えめでピュアなミニマルスタイルがトンダ PFコレクションの真髄と言える。であれば、“トンダ PF マイクロローターに日付は不要ではないか?”ということは、コレクションのローンチ当初から議論がされていた。時計好きのなかには日付不要派が多いことに加え、特にパルミジャーニ・フルリエの場合、そのデザインやスタイルはどちらかと言えばドレッシーな立ち位置にある。一方で、時計業界では圧倒的に日付表示ありがスタンダードだ。そうしたこともあり、日付は必要か不要かということは、ブランドのなかでも大きな関心事となっていたようだ。

先日公開したグイド・テレーニ氏のインタビューの際に、実はこの日付の有無について質問をしていた。氏によれば、最初のモデルに日付を付けたのは、日付がないとダイヤルの表情がのっぺりし過ぎるのではないかということで付ける判断に至ったという。もちろん日付表示を入れるにあたっては、12時側のPFエンブレムの対角線上にレイアウトしてバランスを取り、カレンダーディスクもダイヤルカラーに合わせるなど、繊細な配慮がなされた。

ただし、トンダ PFコレクションにおいて日付表示がないモデルは初めてというわけではない。過去にローンチしたトンダ PF GMT ラトラパンテやミニッツ ラトラパンテ、そして36mmモデルなどでは日付表示は省略されている。こうした既存のモデルでは日付表示がなくとも市場で好評だったこともあり、今回のゴールデン・シエナではユーザーの選択の幅を広げるためにノンデイトとしたそうだ。

デイトの有無以外の仕様は既存モデルも新作も変わらない。どちらもケースは直径40mmに対して、厚さ7.8mm、ムーブメントも直径 30.6mmに対して、厚さ3.07mmとまったく同じだ。40mmのノンデイトモデルはまだ本作のみだが、デイトの有無で選べるようになったのだ。

筆者はグイド氏の“ユーザーの選択の幅を広げるため”というコメントに、とても合点がいった。パルジャーニ・フルリエにおける最も大切なコアバリューについてグイド氏はインタビューのなかで、周囲にひけらかすのではなく、自身が満足を得ることを大切にする“プライベートラグジュアリー”が非常に大事だと答えていた。生産性やあまねく誰かのためではなく、ユーザーの満足を高めるために豊富な選択肢を用意する。まさにブランドが掲げるコアバリューを体現するような新作ではないだろうか。

日付は必要か不要か。パルジャーニ・フルリエはこの果てしない論争に、是か非かではなく、ユーザーの求めに応じてどちらも提供するという、最も理想的なカタチで決着を付けた。

基本情報
ブランド: パルミジャーニ・フルリエ(Parmigiani Fleurier)
モデル名: トンダ PF マイクロローター ゴールデン・シエナ(Tonda PF Micro-Rotor Golden Siena)
型番: PFC914-1020021-100182

直径: 40mm
厚さ: 7.8mm
ケース素材: ステンレススティール、プラチナ950製ローレット加工ベゼル
文字盤色: ゴールデン・シエナ(バーリーコーン模様の手彫りギヨシェ)
インデックス: ハンドアプライド、ロジウム加工
夜光: なし
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: ポリッシュ/サテン仕上げのSS製ブレスレット、フォールディングクラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: PF703
機能: 時・分表示
直径: 30.6mm
厚さ: 3.07mm
パワーリザーブ: 48時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 29
クロノメーター認定: なし
追加情報: プラチナ950製マイクロローター、バーリーコーン(麦の穂)模様のギヨシェ、コート・ド・ジュネーブ、ペルラージュ装飾

価格 & 発売時期
価格: 370万7000円(税込)