グランドセイコーの歴史において、今後間違いなくマイルストーンとなる注目の新作だ。

エボリューション9 コレクションから、年差±20秒の高精度を誇るスプリングドライブ新開発ムーブメント Cal.9RB2を搭載した時計が2種類発表されたのだ。それが2025年新作のハイライト、ブライトチタンケースのSLGB003とプラチナ950ケースのSLGB001だ。前者はレギュラーモデルで、後者は世界限定80本(うち国内40本)のリミテッドモデルとなっている。さっそく、その特徴を紹介しよう。

新開発されたCal.9RB2。画像:セイコーウオッチ

どちらも共通して、新型のCal.9RB2を搭載する。その特徴は冒頭でも触れたとおりだが、最大の特徴は年差±20秒という圧倒的な精度を実現した点である。資料によれば、3ヵ月間の入念なエージング(安定動作するまで意図的に動作させること)を経た水晶振動子を、新設計のICとともに真空に密封し、温度、湿度、静電気、光などの影響を最小限に抑えることで高精度が実現された。封入されたICは、個々の水晶振動子の周波数を複数の温度で測定して得られたデータをもとに温度補正を行う。こうした温度補正の仕様は既存のスプリングドライブ Cal.9RA5、9RA2(ともに2020年発表)から引き継がれている。だが、新ムーブメントではスプリングドライブ史上初めて精度を補正するための緩急スイッチを採用した。パネライスーパーコピー代引き 激安これによって、長年の使用で発生する可能性のある精度のずれをアフターサービス時に補正することができるようになったという。シースルーバック仕様のため、搭載するムーブメントを見ることができ、SLGB003、SLGB001ともに仕様は同じだ。

こちらはブライトチタンケースのSLGB003のケースバック側。画像:セイコーウオッチ

プラチナ950ケースのSLGB001(写真)も、左に掲載しているSLGB003(ブライトチタンケース)も、ケースバックの仕様に大きな違いはない。

回転ローターには、年差精度を実現したムーブメントに与えられる“SPRING DRIVE ULTRA FINE ACCURACY”の文字が刻まれているのが特徴だ。ムーブメントの造形は、スプリングドライブムーブメントの製造地「信州 時の匠工房」から望む北アルプスの山々がインスピレーションの源泉となった。ムーブメントの表面には凍結した霧をイメージした、グランドセイコー独自の“霧氷仕上げ”を採用。そしてムーブメントの随所に椀状の面取りを施し、鏡面に磨き上げることで美しい輝きを与えている。

レギュラーモデルのSLGB003では、ケースとブレスレットにグランドセイコー独自のブライトチタンを採用する。ブライトチタンはステンレススティールよりも約30%重量が軽く、純チタンよりも明るい色味を持つのが特徴。ザラツ研磨を施すことによってチタンとは思えぬ輝きを放つ。一方、限定モデルであるSLGB001のケースはプラチナ950製だ。こちらも熟練の研磨師によるザラツ研磨によってゆがみのない鏡面と際立つ稜線が生まれ、高級機にふさわしい上質な輝きを備える。

また、ダイヤルはともに「信州 時の匠工房」の東に位置する諏訪・霧ヶ峰高原で厳冬期に見られる樹氷がモチーフとなっている。本作のダイヤルに見られる特徴的なパターンは、澄み切った雪原に林立する樹氷を精緻な型打模様で表現したもので、光の変化によって美しく煌めく表面加工を施す。極めて繊細なために少しわかりにくいかもしれないが、ダイヤルパターンこそどちらも同じであるものの、ふたつのモデルでは色味が異なる。レギュラーモデルであるSLGB003のダイヤルは、一見すると無彩色のシルバーのように見えるが、わずかに淡いブルーの色味を持ち、樹氷の清々しい空気感を表現。そこにブルースティールの秒針を組み合わせた。限定モデルであるSLGB001のダイヤルは、SLGB003よりもわずかに深みのあるブルーを採用。秒針もシルバーすることで、一層ダイヤルの存在感が際立つ表現がなされた。

通常モデルのSLGB003はグランドセイコーブティックおよびグランドセイコーサロンで購入可能で、価格は151万8000円。限定モデルのSLGB001は世界限定80本(うち国内40本)でグランドセイコーブティックでのみ発売。価格は550万円(税込)で、どちらも6月6日(金)からの発売を予定している。

ファースト・インプレッション
初見で目を奪われたのは、やはりダイヤルだった。もちろん、樹氷を表現したという新しい表面加工の繊細な表現も引かれた点だが、なんと言ってもU.F.A.(Ultra Fine Accuracy)の文字である。グランドセイコーは1969年に、機械式腕時計としての正確さを極限まで追求した超高精度モデルとしてV.F.A.(Very Fine Adjusted)を送り出した。その精度は月差±1分以内。これは平均日差でいうと日差が±2秒という驚きの数字だ。クォーツ制御のスプリングドライブでU.F.A.ということは、V.F.A.をはるかに超える精度なのだろうと、心が躍った。前述のとおり、このU.F.A.の精度は年差±20秒だ。単位が年差とはいえ、20秒という数字だけを見るとイマイチそのすごさが伝わりにくいかもしれない。次世代のスプリングドライブムーブメントとして位置づけられているCal.9RA5、9RA2(Cal.9RA5からパワーリザーブインジケーターをローター側にレイアウトしたもの)の精度は、平均月差±10秒、日差だと±0.5秒相当となる。対してU.F.A.では平均月差で±3秒相当になるといい、現在のフラッグシップであるCal.9RA5、9RA2の数字を大きく上回る高精度を実現する。

そしてダイヤルと並んで印象的なのが、サイズ感である。U.F.A.モデルはエボリューション9 コレクションに属しており、デザイン文法であるエボリューション9スタイルに則った視認性と独創性を高い次元で両立したダイヤル、薄型で低重心のケース、幅の広い安定感のあるブレスレットを備えているため、既存のコレクションと40mmサイズかと想像していたが、腕に乗せてみると思っていた以上に小振りだ。そう、U.F.A.モデルのケース径は37mmで、これはCal.9R搭載モデルのなかでは最小となる。小型化と薄型化を実現した新ムーブメントを搭載することで37mmというケース径に収めることができたそうだ。ムーブメント自体の厚みは外径30mmで、厚さは5.02mm。9RA2搭載モデルのケース厚が11.8mmであるのに対して、このスリムなムーブメントによりU.F.A.モデルのケース厚は11.4mmと0.4mm薄くなっている。

また、つけたときに知って感動したのが、グランドセイコーとして初めて採用されたという新しいクラスプの存在だ。レギュラーモデルのブライトチタン製ブレスレットは、2mm単位で3段階の調整が可能な新しいクラスプを備えており、上の写真のようにクラスプの内側に設けられたボタンを押してスライドさせるだけで簡単にフィット感の微調整が行えるのだ。U.F.A.モデルもエボリューション9スタイルに則っているため、適度な幅と厚さによって安定感のある優れた装着性を備えているが、このクラスプにより一層快適につけられる。実用に配慮したありがたい機構で、個人的には既存のモデルにおいても今後は標準採用されることを期待している。

Photo by Yusuke Mutagami

新作のU.F.A.モデルは、その圧倒的な精度はもちろんのこと、装飾やディテール、実用性においても最高峰の腕時計を目指すグランドセイコーにふさわしいモデルだと感じられた。ただひとつ気になっているのは、なぜ困難な精度追求へ挑戦したのかということだ。グローバル戦略を進めるなか、その成功の原動力となったように、グランドセイコーは圧倒的な表現力で実現させた独創的なダイヤルで海外コレクターを魅了した。圧倒的な精度追求というのはどちらかと言えば、真面目な日本のコレクターに刺さるトピックであろう。本作は日本のコレクターを主なターゲットとしているのなのだろうか? Watches & Wonders 2025の期間中、グランドセイコーにおける精度追求の意義については、ぜひ直接話を聞こうと思っている。

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基本情報
ブランド:グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U. F. A.(Evolution 9 Collection Spring Drive U. F. A.)
型番:SLGB003(レギュラーモデル)、SLGB001(限定モデル)

直径:37mm
厚さ:11.4mm
ケース素材:ブライトチタン(SLGB003)、プラチナ950(SLGB001)
文字盤色:ともに澄み切った雪原に林立する樹氷の美しさを表現した精緻な型打ち模様。ライトブルー(SLGB003)、SLGB003よりもわずかに深みのあるブルー(SLGB001)
インデックス:アプライド
夜光:なし
防水性能:10気圧(日常生活用強化防水)
ストラップ/ブレスレット:ブライトチタン製ブレスレット(SLGB003)、2mm単位で3段階のスライド調整が可能な新開発微調整機構付きクラスプ。クロコダイルストラップ、プラチナ950製バックル(一部は18Kホワイトゴールド)

ムーブメント情報
キャリバー:9RB2
機能:時・分表示、センターセコンド、3時位置に日付表示、パワーリザーブインジケーター(裏蓋側)
直径:30mm
厚さ:5.02mm
パワーリザーブ:72時間
巻き上げ方式:自動巻きスプリングドライブ
振動数: 3万2768振動/秒(1億1796万4800振動/時)
石数: 34
クロノメーター認定:なし。U.F.A.(Ultra Fine Accuracy)
追加情報:年差±20秒

価格 & 発売時期
価格: SLGB003は151万8000円、SLGB001は550万0000円(ともに税込)
発売時期: 6月6日(金)
限定:SLGB003は通常モデルでグランドセイコーブティックおよびグランドセイコーサロン、SLGB001は世界限定80本(うち国内40本)でグランドセイコーブティックでのみ発売の専用モデル

グランドセイコー初の機械式クロノグラフウォッチとしてテンタグラフが登場!

2022年にコンスタントフォース・トゥールビヨン搭載の“Kodo”がジュネーブ ウォッチ グランプリにてクロノメトリー賞を受賞していたこともあり、Watches & Wondersの会場でお披露目されたテンタグラフにも強い関心が寄せられていた。グランドセイコーらしい堅牢かつ合理的な設計と、その名前に端的に示された高いスペック(TEN beats per second=10振動、Three days=3日間のパワーリザーブ、Automatic=自動巻き、chronoGRAPH=クロノグラフ)もあり、同モデルは各メディアから高い評価を受けていたようだ。

それから2年が経過した2025年、テンタグラフが再びWatches & Wondersに帰ってきた。そろそろ2作目が出てもいいころだと思っていたが、そのデザインは僕の予想から大きくかけ離れたものだった。大胆なカッティングが施された無骨なブリリアントハードチタン製のケース、有機的で躍動感のあるダイヤルは、ともに“獅子(ライオン)”をイメージしたものであるという。

獅子は1960年に誕生した初代グランドセイコー以来、ブランドの象徴として裏蓋に刻まれ続けてきたモチーフだ。百獣の王の刻印には、“最高峰の腕時計を目指す”というグランドセイコーの揺るぎない意志が込められており、本作では“トーキョー ライオン テンタグラフ(Tokyo Lion Tentagraph)”というモデル名にもその精神が投影されている。

なかでも目を引くのが2023年の前作テンタグラフとは大きく印象を異にする、金属の塊を削り出したような荒々しい造形のケースだ。ヘアラインを基調としつつポリッシュとの巧みな磨き分けが施されたその表面仕上げは、素材の質感と重厚さを際立たせている。よく見るとベゼルとケースは2体構造となっており、この設計によって鋭角的なエッジの立った磨き分けが可能になっている。

さらに、獅子のたてがみが風になびく様子から着想を得たというユニークなダイヤルも印象的である。水平方向にランダムな幅で走る有機的なパターンの上に、多面カットが施されたアプライドインデックスが整然と配置され、ダイヤル全体に引き締まった力強さを与えている。各インデックスは凹型に切削され、その内部にはたっぷりとルミブライトが充填されている。極太の針とあいまって、暗所での視認性にも大いに期待が持てそうだ。

クロノグラフのプッシャーはケース同様に大振りで直線的な造形となった。大きく入れられた刻みは指へのかかりがいいだけでなく、SLGC001でも好評を得ていた優れた押し心地も踏襲されている。また、プッシャーの下部から裏蓋に向けてグッと内側に絞られていることにより、サイドビューにはそこまでの重厚さを感じない。また、ここにもポリッシュが施されており、サテン仕上げとのコントラストによって立体感を強調している。

ムーブメントにはもちろん、グランドセイコー初の機械式クロノグラフムーブメントであるCal.9SC5ことテンタグラフを搭載。これはベースとなるCal.9SA5の薄さを生かしたモジュール式のムーブメントであり、曲線を生かしたパーツの造形や美しい仕上げを、シースルーバックから眺めることができる。

なお、この時計の裏側には獅子をイメージした遊び心あるディテールが潜んでいる。以下の写真を見てわかった人もいるかもしれないが、ラバーストラップの取り付け部分近くに4つ指の“肉球”のようなデザインが施されているのだ。このあしらいはただユニークなだけでなく、手首への設置面を抑えてつけ心地を向上させる役割もある。ちなみにこのラバーストラップはトーキョー ライオン テンタグラフのために新たに開発されたもので、シリコンストラップの2倍以上の引っ張り強度を誇るという。

トーキョー ライオン テンタグラフことSLGC009の価格は231万円(税込)。8月8日(金)より全国のグランドセイコーブティックおよびグランドセイコーサロンにて発売予定だ。

なお同じタイミングで、E9(Evolution 9)コレクションにもテンタグラフの新作SLGC007が登場している。黒いサブダイヤルをスノーブルーの岩手山パターンが取り囲んだ、パンダ風ダイヤルが特徴的だ。前作のダークブルーダイヤルと比較して、コントラストが効いたスポーティな顔立ちとなっている。ケースサイズは直径43.2mmで、厚さが15.3mm。価格は198万円(税込)で、5月10日(土)からの販売を予定している。

ファースト・インプレッション
2年の歳月を経て、テンタグラフがこれほど大胆な変貌を遂げるとは誰が予想しただろうか。前作は、日本的な“光と陰の中間の美の豊かさ”を志向するE9のデザインコードを踏襲していたが、今回はスポーツコレクションとしての発表となったためか、一転してメリハリの効いたワイルドな雰囲気が前面に打ち出されている。ダイヤルのゴールドと見返しおよび6時・9時のブラウンの取り合わせも、どこかサファリを思わせる。モチーフとされた獅子の力強さが、視覚的にわかりやすい形でデザインに落とし込まれている。なおセイコーいわく、本作はテンタグラフをスポーツウォッチにするという発想から生まれたものではなく、新たなデザインスポーツウォッチを模索した結果として、グランドセイコーのメカニカルクロノグラフを象徴するテンタグラフこそがふさわしいと考えたそうだ。

なお、この特徴的なケース形状は今回初めて登場したわけではない。グランドセイコーはスプリングドライブ誕生20周年の際に、“獅子”というモチーフを全面に押し出した3部作(SBGC230、SBGC231、SBGA403)をリリースしている。これらのモデルにはすでに、ブレスレットを左右から力強く掴む“獅子の爪”を思わせるラグが採用されていた。その後も、2020年のSBGC238、2023年のSBGC253とSBGA481、2024年のSBGE307と、ブランドは定期的にこのケースデザインを採用し続けている。これら“トーキョー ライオン”と名付けられたコレクションにおいて、グランドセイコーは獅子のたてがみをイメージしたパターンをダイヤルにあしらい、表現方法こそ異なるものの、獅子が持つむき出しの野生を時計全体で力強く表現してきたのだ。

2019年にリリースされたSBGC231。

そしてトーキョー ライオン テンタグラフでは、ケースにもうひと工夫を加えることでさらなる迫力が加味されている。その工夫とは、ケースと同様に直線的な構造を持つベゼルパーツの存在だ。右の写真は2019年に登場したSBGC231だが、ケースの基本形状は同じでありながら、ベゼルのデザインが異なるだけでグッとシャープな印象となる。今回の新作では大胆なパターンが施されたダイヤルに対し、ボリューム感のあるベゼルパーツが絶妙なバランスを保ち、互いに引き立て合いながらダイナミックなルックスを形作っている。セイコーは広報資料でこの時計について「獅子の持つ威厳や気高さに由来するスタイルをまとったスポーツウオッチ」と述べているが、まさにそのコンセプトに則ったデザインだ。

その一方で、着用感はいたって軽やかだ。ブリリアントハードチタン製ということもあるが、手首を掴むように緩やかにカーブしたケースバック、低く取られた重心によって長時間着用していても疲労はあまり感じなかった。それには、特徴的なラバーストラップの存在もひと役買っているかもしれない。少々きつめに手首に巻いても、上にも記載したストラップ裏の凹凸によって締め付けられるような感覚はなかった。

ケース径に対しラグトゥラグは控えめだ(50mm)。ご覧のとおり、成人男性において平均的な太さを持つ(17cm周)僕の手首からもはみ出すことなく収まっている。Photo by Kyosuke Sato

個人的には、この野生的なルックスを実現するために、随所に繊細な加工が施されているというギャップにも魅力を感じている。たとえばプッシャーは従来どおりの円柱形にすれば、はるかにコストを抑えられたはずだ。加えてスムーズな押し心地を追求するために、ケースとの調整には何度も手が加えられたのではないかと思う。また3時・6時・9時位置のサブダイヤルは、実はメインの文字盤とは別体で構成されている。わずかにくぼんだお椀型のフォルムと、ダイヤル表面から浮き立つようなエッジの効いた縁取りは、通常の型打ちでは表現が難しいだろう。だがそのこだわりがあるからこそ、ダイヤルにはグランドセイコーらしい上質さと高級感が宿っている。

この時計は、グランドセイコーによる上質なものづくりを理解していつつ、もう1歩踏み込んだ個性を求める人にこそすすめたい。過去数作に遡る“獅子”モチーフのモデルと比較しても、トーキョー ライオン テンタグラフはパッと見で異質とも言える存在感を持つモデルだ。しかし本作は、前作SLGC001ですでに評価の高いムーブメントと実績のあるケースをベースとしており、決してグランドセイコーのラインナップにおいて突飛なものではない。そして挑戦的なルックスを支えるのは、同ブランドらしい繊細なウォッチメイキングだ。グランドセイコーの美学に慣れ親しんだファンにも、新鮮な発見をもたらしてくれる新たなスポーツモデルである。

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基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: スポーツコレクション トーキョー ライオン テンタグラフ
型番:SLGC009

直径: 43mm
厚さ: 15.6mm
ケース素材: ブリリアントハードチタン
文字盤色: ゴールド
インデックス: アプライド
夜光: 時・分針、3時側サブダイヤルの秒針、インデックスにルミブライト
防水性能: 20気圧防水
ストラップ/ブレスレット:ブライトチタン製のバックルが付属したラバーストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: 9SC5
機構: 時・分表示、センターセコンド、デイト表示、クロノグラフ機能
パワーリザーブ: 約72時間(クロノグラフ作動時)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 60石
追加情報:平均日差+5~-3 秒

価格 & 発売時期
価格: 231万円(税込)
発売時期: 8月8日(金)
限定: なし(グランドセイコーブティックおよびグランドセイコーサロンにて販売)

A.ランゲ&ゾーネの統合型スポーツウォッチが、ブランドの象徴的なハニーゴールド仕様で登場した。

これ以上何を語るべきだろうか? 正直あまりない。説明したとおりの時計である。ただ本当に、心から素晴らしい時計だ。

オデュッセウスは2019年に発表され、A.ランゲ&ゾーネにとって初の本格的な“カジュアル”モデルに加わった。120m防水、40.5mm×11.1mmのケースに、テクスチャ加工が施されたマットなブルーダイヤルを備え、見事に装飾されたダトマティックムーブメントL155.1を搭載。曜日と日付の大きな表示、さらに(少しドレッシーな印象を加える)スモールセコンドと約50時間のパワーリザーブを備えている。当初は賛否が分かれたモデルだったが、いまやそんな議論は過去の話だ。スティール製オデュッセウスには長い待機リストがあり、もしA.ランゲ&ゾーネのあらゆるモデルを手に入れられるようなVIPなら、すでに1本持っているかもしれない。そして、おそらくこの新作も欲しくなるはずだ。

ハニーゴールド仕様の新作オデュッセウスは、前述のスペックのほぼすべてを踏襲している。最大の違いはケース素材とダイヤルにある。ハニーゴールドについては、すでにご存じの方も多いだろう。A.ランゲ&ゾーネ独自の合金であり、ローズゴールド、イエローゴールド、ときにはホワイトゴールドのような色合いを見せる特別な素材だ。ハニーゴールドを使用したモデルは、その希少性と特別感からきわめて高い人気を誇る。そして今回、その独自のゴールドに合わせられたのは、ランゲでは珍しいリッチなブラウンダイヤルである。

新オデュッセウスは、ほかのハニーゴールドモデルと同様に限定生産であり、わずか100本のみの製造となる。価格は“要問い合わせ”とされているが、詳細がわかり次第、この記事を更新する予定だ。

我々の考え
この時計を実際に手に取る機会に恵まれたが、正直に言って、これは本当に素晴らしかった。ハニーゴールドは写真でも美しく見えるが、実物のほうがはるかに魅力的な素材である。光や影の加減によって、異なる面や仕上げが絶妙に色を変化させる。その効果は、特にポリッシュ仕上げのベゼルやブレスレットの面取り部分で顕著に表れ、光の当たり方によってイエローやホワイト寄りに見える。一方で、サテン仕上げの部分はややローズ寄りの色調を帯びる。少なくとも私の印象ではそう感じられた。

ブレスレットについて言えば、これは引き続きA.ランゲ&ゾーネにとって製造上の課題のひとつとなっているようだ。ブランド独自の素材であるハニーゴールドは、オデュッセウスのブレスレットにとって扱いが難しかったチタンと同様に、加工を誤ると破損する可能性がある。しかしランゲは今回の生産において、より迅速な納品が可能だと自信を持っているようだ。これはこの時計を手にする100人にとって朗報といえるだろう。

100本という数量は少なすぎると感じるかもしれないが、ランゲは前回のハニーゴールドをわずか50本しか製造していない。それを考えれば、それでも増産されたと言えるだろう(ちなみに、そのモデルは複数の理由から62万ドル、日本円で約9400万円という価格が設定されていた)。つまり、ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ハニーゴールド “ルーメン”を手に入れられなかった人々にとって、今回再びチャンスが巡ってきたことになる。ただし、前回のモデルを入手したVIPが今回のオデュッセウスを購入できるかどうかは定かではない。また、価格はおそらく10万ドル(日本円で約1500万円)を超えると予想される。これは、ノーチラス 5711R(小売価格5万9140ドル、日本円で約900万円)や“ジャンボ”ロイヤル オーク 16202OR(8万700ドル、日本円で約1200万円)を大きく上回るが、機構的にはより複雑であり、個人的にはそれ以上に魅力的であることは間違いない。

最新情報をお届けする予定だ。すべての新作発表は、ぜひここでチェックして欲しい。

基本情報
ブランド: A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)
モデル名: オデュッセウス(オデュッセウス)
型番: 363.150

直径: 40.5mm
厚さ: 11.1mm
ケース素材: 18Kハニーゴールド
文字盤: マットブラウン仕上げの真鍮
インデックス: ハニーゴールド製バトンアプライド
夜光: あり、針およびインデックス
防水性能: 120m
ストラップ/ブレスレット: ハニーゴールド製ブレスレット(マイクロアジャスト機能付き)

A. Lange & Söhne L155.1
ムーブメント情報
キャリバー: L155.1 ダトマティック
機能: 時・分表示、スモールセコンド、曜日・日付表示
直径: 32.9mm
厚さ: 6.2mm
パワーリザーブ: 約50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: 31
クロノメーター: なし
追加情報: 5姿勢で精密調整、950プラチナ製遠心マスを備えた一方向巻き上げ式センターローター、手彫り装飾が施されたテンプ受け

価格 & 発売時期
価格: 要問い合わせ
発売時期: すぐに
限定: あり、世界限定100本

34mm径のフランソワ・ボーゲル製ケースに着想を得た過去へのオマージュモデルに、現代のエッセンスを絶妙に融合。

ヘリテージ オートマティックやその他のヴィンテージスタイルの成功を受けて、アルピナはかつての優れた3針モデルのひとつを、現代のウォッチファン向けに再解釈し復活させた。

Alpina Heritage Tropic Proof
34mm径のステンレススティール製トロピックプルーフはホワイトとブラックの2種のダイヤルバリエーションで展開されており、その姿は往年の同名ヴィンテージモデルを色濃く想起させる。当時の多くのモデルと同様に、本作でもケースには伝説的なケースメーカー、フランソワ・ボーゲルが供給したものを彷彿とさせる要素が取り入れられている。防水ケースのスペシャリストとして知られるこのケースは、パテック フィリップや、ヴァシュロン・コンスタンタン、モバードなど数多くのブランドに用いられていた。今回のトロピックプルーフにおいてもそのオマージュは明確で、シンプルな傾斜ラグや10角形のねじ込み式ケースバックにその特徴が表れている。

トロピックプルーフのふたつのバリエーションはダイヤルの仕様によって区別され、ホワイトとブラックの両バリエーションともにアルピナ独自のグロス仕上げが施されている。実物を目にするのがいまから楽しみな仕様だ。1960年代のヴィンテージ トロピックプルーフに見られた、グロッシーな“ギルト”ダイヤルを意識していることは明白だろう。インデックスはシルバートーンのアプライド仕様で、針はすべて手作業でポリッシュされている。

Alpina Heritage Tropic Proof
トロピックプルーフに搭載されるのは、アルピナの新型ムーブメントであるCal.AL-480だ。本ムーブメントについては現時点で詳しい情報は明かされていないが、手巻き式でパワーリザーブは42時間、振動数は2万8800振動/時となっている。

2種のモデルはいずれも限定ではなく、価格はともに1895ドル(日本円で約27万6000円。※日本展開なし)に設定されている。今年7月から発売開始の予定だ。

我々の考え
正直に言ってアルピナはもっと評価されるべきだ。2002年の復活以来、同ブランドはヴィンテージ調のツールウォッチに傾倒し、ディテールにこだわる愛好家たちのために、静かにその砦を守り続けてきた。フランソワ・ボーゲルのケースや、それを参照した現代的なモデルを数多く扱ってきた者として、今回のトロピックプルーフを目にしたときは思わず身を乗り出してしまった。

Alpina Heritage Tropic Proof
10角形のケースバックやギルト風の光沢あるダイヤル仕上げといったディテールは、正確に再現するのが非常に難しい部分であるにもかかわらず、アルピナは見事にまとめ上げている。価値あるヴィンテージウォッチを参照することと、それを2025年に身につけられる製品として成立させることとはまったく別の話だ。この両者を見事に融合させている術こそアルピナの真骨頂であり、今回のトロピックプルーフでもその手腕が光っている。

本作でアルピナが何か革新的なことをしているわけではないが、それでいいのだ。これは、日常使いできるドレスウォッチという古くからあるコンセプトに基づいた、非常に実用的な3針時計である。たとえばケースの厚みはわずか9.25mmに抑えられており、風防には一般的なフラット型ではなく、反射防止コーティングを施したボックス型のサファイアクリスタルが採用されている。これらの仕様も、ヴィンテージ感をさりげなく強調する絶妙なディテールだ。

Alpina Heritage Tropic Proof
コンパクトで的確にヴィンテージの雰囲気をまといながらも、アルピナ ヘリテージ トロピックプルーフには気負いがない。そして2000ドルを切る価格であれば、それで十分魅力的だ。これは、ヴィンテージウォッチに興味を持ち始めた人にも、すでに深く魅了されている人にも響く優れた1本である。

そのほか、Watches & Wonders 2025の最新情報については、こちらをページをチェックして欲しい。

基本情報
ブランド: アルピナ(Alpina)
モデル名: ヘリテージ トロピックプルーフ(Heritage Tropic Proof)
型番: AL-480S2H6 and AL-480B2H6

直径: 34mm
厚さ: 9.25mm
ケース素材: スティール
文字盤色: ホワイト、もしくはブラック
インデックス: アプライド
夜光: ルミノバ
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: スティール製ピンバックルが付いたベージュのアルカンターラストラップ(同色ステッチ)

Alpina Heritage Tropic Proof
ムーブメント情報
キャリバー: AL-480
機能: 時・分表示、センターセコンド
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 17

価格 & 発売時期
価格: 1895ドル(日本円で約27万6000円)
発売時期: 2025年7月(※日本展開なし)
限定: なし

ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)から、新作フルーツポーチが登場。

“オレンジの果実”モチーフのポーチ
オレンジ マルチポーチ 415,000円(H16×W16cm)
オレンジ マルチポーチ 415,000円(H16×W16cm)
ボッテガヴェネタ コピーが2025年夏に提案するのは、フルーツをモチーフにしたユニークなポーチ。オレンジの果実をモチーフにした「オレンジ マルチポーチ」は、アイコニックなイントレチャートレザーを使用して、夏の太陽をいっぱい浴びたオレンジを表現している。ショルダーストラップには、レザーでかたどった葉のモチーフを合わせた。

オレンジ マルチポーチ 415,000円(H16×W16cm)
オレンジ マルチポーチ 415,000円(H16×W16cm)
収納部分も遊び心満載。本物のオンレジをカットするかのように収納部を開けば、スライス状の4つのポーチがあらわになる。ファスナー仕様なので、物を出し入れしやすいのも嬉しい。

“イチゴの果実”風クロシェ編みポーチ
フラゴリーナ ポーチ 1,094,500円(H15×W12×D10cm)
フラゴリーナ ポーチ 1,094,500円(H15×W12×D10cm)
2色のレザーを用いて立体的に編み上げ、イチゴの果実に見立てたクロシェ編みの「フラゴリーナ ポーチ」も要チェック。ドローストリングによる開閉式で、さっと物を収納可能だ。レザー製のショルダーストラップ付きなので、ハンドバッグやショルダーバッグとしても使用できる。

【詳細】
ボッテガ・ヴェネタ フルーツポーチ
発売時期:2025年7月
展開店舗:ボッテガ・ヴェネタ 銀座フラッグシップ
価格:
・オレンジ マルチポーチ 415,000円(H16×W16cm)
・フラゴリーナ ポーチ 1,094,500円(H15×W12×D10cm)

【問い合わせ先】
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
TEL:0120-60-1966